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腰が痛いまま働いている看護師さんは、非常に多いです。
そして多くの方が、こう思っています。「この仕事だから仕方ない」
半分は当たっています。ただ、半分は変えられます。
この記事では、看護師の腰にどういう負担がかかっているのかを仕組みから説明したうえで、今日から変えられることをお伝えします。
先にお伝えしておきます。これは一般的な情報であり、あなたの腰痛の診断ではありません。 症状が続くなら、整形外科を受診してください。
腰にかかる力は、持ち上げる重さより大きい
ここが、いちばん知られていないところです。
人が前かがみで物を持ち上げるとき、腰の骨と骨のあいだにかかる力は、持ち上げた物の重さそのものではありません。
体を支点として考えると、上半身の重さと、腕の先にある物の重さが、てこの原理で腰に集中します。前かがみになるほど、その力は大きくなります。
つまり、「軽いから大丈夫」は成り立ちません。 姿勢のほうが効いてきます。
ベッドの高さを上げずに前かがみで清拭をする。ベッド柵越しに腕を伸ばして体位変換をする。この2つが、看護師の腰にとっては重い作業です。
なぜ看護師の腰痛が多いのか
3つの要素が重なっています。
1. 相手が動く
荷物と違い、患者さんは動きます。予測できないタイミングで力がかかるので、身構える前に負担が来ます。
急変時、不穏な患者さんの対応、転倒しかけた人を支える瞬間。いちばん危ないのは、想定していないときです。
2. 中腰の時間が長い
採血、点滴の交換、記録、おむつ交換、足浴。大きな力ではないが、中腰が積み重なります。
強い力が一度かかるより、中程度の負担が長く続くほうが、腰には堪えることがあります。
3. 疲労と睡眠不足
ここが見落とされがちです。
疲れているとき、体を支える筋肉の反応が鈍くなります。夜勤明けの体は、同じ動作でも腰への負担が大きくなります。
夜勤と体の関係は夜勤は体に何をしているのかで詳しく扱っています。
受診すべきサイン
ほとんどの腰痛は、時間とともに軽くなります。ただし、すぐ受診したほうがよいサインがあります。
- 足のしびれや力の入りにくさがある
- 排尿や排便に異常がある
- 安静にしていても痛みが強い、夜間に痛みで目が覚める
- 発熱をともなう
- 転倒や強くぶつけたあとから始まった
- 体重が減っている
医療者ほど、自分の症状を軽く見積もります。 「そのうち治る」で数か月過ごしてしまう方が本当に多いです。
上のどれかが当てはまるなら、様子を見ずに整形外科へ行ってください。
「安静にする」は、もう推奨されていません
ここは考え方が変わった部分なので、はっきり書きます。
かつては腰痛といえば安静でした。いまは、痛みの範囲内で動いたほうが回復が早いという考え方が主流です。
長く寝て過ごすと、体を支える筋力が落ち、かえって痛みが長引きます。
もちろん、痛みが強い時期に無理をする必要はありません。「安静が正解」という思い込みだけは外してください、という話です。
今日から変えられる6つのこと
1. ベッドの高さを、毎回上げる
これが最も効きます。 そして最も飛ばされます。
「すぐ終わるから」と、高さを変えずに前かがみで処置をする。この積み重ねが腰に来ます。
目安は、自分の腰から股関節あたりの高さです。数秒の手間で、前かがみの角度が変わります。
2. 患者さんに近づく
腕を伸ばして遠くから支えると、てこの腕が長くなり、腰への力が増えます。
ベッド柵を下ろして、体を近づけてください。 距離を縮めるだけで負担が変わります。
3. 膝を使い、腰をひねらない
低い位置の作業では、腰を曲げるのではなく膝を曲げます。
そしてひねりが最も危険です。 持ち上げながら体をねじる動作は避けて、足の向きごと変えてください。
4. 1人で抱えない
2人で行う体位変換を、忙しさから1人でやってしまう。ここで痛める人が多いです。
応援を呼ぶ数十秒と、腰を痛めて数か月働けなくなることを比べてください。
5. 補助具を使う
スライディングシート、スライディングボード、リフト。導入されていても、使われていない職場があります。
「使うほうが時間がかかる」と感じるかもしれません。慣れると逆になります。 置いてあるのに使われていないなら、それは職場全体の損失です。
6. 靴を見直す
1日中立って働く仕事です。すり減った靴、クッションの落ちた靴は、腰まで影響します。
靴は消耗品です。 買い替えの周期を決めておくと、判断が要らなくなります。
腰を痛めたら、それは労災になりえます
知られていないので書いておきます。
業務中の動作が原因で腰を痛めた場合、労働災害として認められる可能性があります。
体位変換の最中に痛めた、転倒しかけた患者さんを支えて痛めた。こうした場合は、まず職場へ報告してください。
黙って自費で受診して、あとから「業務中だった」と証明するのは難しくなります。報告と記録が土台になります。
それでも続かないとき
姿勢を直し、補助具を使い、それでも痛みが続く。そのときは、働き方のほうを変える段階です。
腰への負担が少ない職場は、実際にあります。外来、健診センター、企業の産業看護師、コールセンターやオンライン相談。看護師の資格を手放す必要はありません。
腰は、消耗したら元に戻りにくい部分です。限界まで我慢したあとに変えるより、痛みが軽いうちに変えたほうが、選べる職場は広くなります。
選択肢は病院以外で働く看護師の職場9つにまとめています。
まとめ
腰にかかる力は、持ち上げた重さではなく姿勢で決まります。 だから「軽いから大丈夫」は成り立ちません。
ベッドの高さを毎回上げる。患者さんに近づく。膝を使い、ひねらない。1人で抱えない。補助具を使う。靴を替える。
1番目だけでも変えてください。 数秒の手間で、前かがみの角度が変わります。
そして、足のしびれや排尿の異常があるなら、様子を見ずに受診してください。あなたの腰は、あなたにしかありません。


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