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「辞めたい」と決めたあと、いちばん重いのは切り出す瞬間です。
言い方を間違えると引き留めが長引きます。順番を間違えると、話が本人より先に広まります。時期を間違えると、なかなか話が進みません。
この記事では、揉めにくい順番と、そのまま使える言い方をお伝えします。気持ちの持ち方ではなく、手順の話をします。
切り出す前に、決めておく3つのこと
話し合いの場で迷うと、その場で押し切られます。先に決めておいてください。
1. 退職したい日
「いつか」ではなく、日付です。日付がないと、相手のペースになります。
2. 引き留められても変えないと決めておく
ここが最大の分かれ目です。
ほとんどの職場は、まず引き留めます。それは、あなたが必要とされている証拠でもあります。ただし「考え直します」と一度でも言うと、話は振り出しに戻ります。
3. 転職先を決めてから話すかどうか
先に決めてから話すほうが、気持ちは楽です。日付が動かせないので、引き留めにも強くなります。
ただし、体調が限界に近いなら、先に辞めることを優先してかまいません。順番の正解より、あなたが壊れないことが優先です。
いつ言うのが良いのか
法律上の考え方と、現場の慣習は違います。
民法では、期間の定めのない雇用は、申し入れから2週間で終了できるとされています。一方で、就業規則には「1か月前」「2か月前」と書かれていることが多いです。
現実的には、就業規則を確認したうえで、1か月半から3か月前に伝えるのが安全です。看護師はシフトを組む必要があるので、翌々月のシフトが確定する前だと話が進みやすくなります。
年度末に合わせると引き継ぎは楽になりますが、その時期は退職希望が集中します。「年度末まで待って」と言われる可能性は上がります。
誰に、どの順番で言うか
ここを間違えると、本人の知らないところで話が進みます。
- 直属の上司(師長)に、最初に伝える
- 師長から上(看護部長)へ話が上がるのを待つ
- 正式に決まってから、同僚に伝える
先に同僚へ話すと、師長の耳に人づてで入ります。それだけで関係がこじれます。同僚に相談したい気持ちは分かりますが、順番だけは守ってください。
伝える場は、立ち話ではなく個室です。「少しお時間をいただけますか」と、先に時間をもらってください。
そのまま使える切り出し方
長く説明しようとすると、隙ができます。短く、決定として伝えます。
「お忙しいところ恐れ入ります。今後のことでご相談があり、お時間をいただきました。
私事で恐縮ですが、◯月末で退職させていただきたいと考えております。
ご迷惑をおかけしますが、引き継ぎは責任を持って行います。」
ポイントは3つです。
- 「相談」ではなく「考えております」と言う。相談だと、検討の余地があると受け取られます
- 日付を先に出す。日付が入ると、話が具体的に進みます
- 引き継ぎに触れる。ここがあるだけで、印象が大きく変わります
理由は「一身上の都合」で足ります
詳しく話す義務はありません。
不満を理由にすると、「その不満を解消すれば残るのか」という話にすり替わります。 人間関係、給与、夜勤の負担を理由にすると、配置転換や条件変更の提案が返ってきます。
それでも理由を求められたときは、職場が解決できないことを挙げてください。
- 家庭の事情
- 体調の問題
- 以前から関心のあった分野に進みたい
- 学び直したい
転職先が決まっている場合、名前を言う義務もありません。「同業ですが、詳細は差し控えさせてください」で通ります。
引き留められたときの返し方
よくある3つに、返し方を用意しておきます。
「今は人手が足りないから、もう少し待って」
「ご事情は承知しております。そのうえで、◯月末でお願いできればと考えております。引き継ぎの計画は私のほうで作ります。」
人手不足は、あなたが辞めない理由にはなりません。人手が足りている時期は、来ません。
「条件を見直すから残ってほしい」
「ありがたいお話です。ただ、条件の問題ではないので、気持ちは変わりません。」
ここで金額の話に入ると、交渉が始まります。入らないのが安全です。
「無責任だ」「みんなに迷惑がかかる」
この言葉が出たときは、まず一度、間を置いてください。
「ご迷惑をおかけすることは理解しています。だからこそ、引き継ぎの期間を十分に取りたいと考えています。」
退職は労働者の権利です。感情的な言葉に対して、感情で返さないでください。 手順の話に戻せば、相手も手順の話に戻ります。
話が進まないときにできること
伝えたのに握りつぶされる、退職届を受け取ってもらえない。そういう相談は実際にあります。
そのときは、記録を残す形に切り替えてください。
- 伝えた日付と相手を、自分のメモに残す
- 退職届を内容証明郵便で送る
- それでも進まない場合は、労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談する
相談は無料です。「そこまでするのは大げさ」と感じるかもしれませんが、選択肢を知っているだけで気持ちが変わります。
辞めると決めたあとの過ごし方
残りの期間の振る舞いは、思っている以上に後まで残ります。
看護の世界は狭く、転職先で元同僚と再会することは珍しくありません。引き継ぎ資料を丁寧に作った人は、そう記憶されます。
感謝を伝えて辞めた職場は、いつか戻れる場所にもなります。
まとめ
退職の切り出しは、勇気の問題ではなく手順の問題です。
日付を決め、引き留められても変えないと決め、師長に最初に伝える。理由は一身上の都合で足ります。引き留めには、手順の話で返します。
言いにくいのは当然です。それでも、言わなければ何も始まりません。 あなたの人生は、あなたが決めていいものです。


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