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「奨学金があるから、あと2年は辞められない」
そう思って働き続けている方は、たくさんいます。体調を崩しても、人間関係がつらくても、そこだけは動かせないと感じてしまう。
この記事では、その縛りが実際にどういうものなのかを整理します。
先にお伝えしておきます。この記事は「払わなくていい」と言うものではありません。 契約の中身によって結論が変わるので、断定できないのです。ただ、何を確認すればいいかははっきりしています。
お礼奉公とは何か
看護学生のあいだに病院からお金を借り、卒業後にその病院で一定年数働けば返済が免除される。これがよくある形です。
3年、5年という設定が多く、期間を満たす前に辞めると、残りを一括で返すよう求められます。
お金の出どころは、大きく2つに分かれます。
- 病院や法人が独自に貸すもの(お礼奉公と呼ばれるのは主にこちら)
- 都道府県の看護師等修学資金(指定の施設で一定期間働けば免除される)
後者は制度として公開されており、条件も明文化されています。問題が起きやすいのは前者です。
まず、契約書を出してください
ここがすべての出発点です。多くの方が、入職時に署名した書類を読み返していません。
確認するのは次の項目です。
- 借りた金額の総額
- 免除される勤務年数と、その起算日
- 途中で辞めた場合の返済額(全額か、勤務した分を差し引くのか)
- 返済の期限(一括か分割か)
- 利息の有無
- 「貸付」と書かれているか、「手当」「一時金」と書かれているか
最後の項目が、意外と大きな意味を持ちます。 理由はこのあと説明します。
書類が手元にないなら、写しをもらってください。自分が署名した契約書を受け取る権利があります。
知っておくべき論点があります
ここは慎重に書きます。断定はしませんが、こういう議論があることは知っておいてください。
労働基準法には、働き手が辞めたときの違約金や損害賠償の額を、あらかじめ決めておいてはいけないという趣旨の定めがあります。辞める自由を、お金で縛らせないための規定です。
では、お礼奉公はこれに当たるのでしょうか。
ここが分かれます。 一般に、次のように考えられています。
- 実質が「本当の貸付」なら、返済を求めること自体は問題になりにくい
- 実質が「辞めさせないための違約金」なら、争点になりうる
判断の材料になるのは、労働契約とは別の契約になっているか、返済免除以外の使い道が本人にあったか、金額が実態に見合っているか、といった点です。
だから契約書の書きぶりが効いてきます。
繰り返しますが、これは個別の事情で結論が変わる話です。この記事を根拠に返済を拒否しないでください。そういう論点がある、と知っておくことに意味があります。
どこに相談できるか
1人で抱えないでください。無料で相談できる窓口があります。
- 労働基準監督署の総合労働相談コーナー(無料。予約なしで相談できます)
- 法テラス(収入の条件を満たせば、弁護士への相談が無料になる制度があります)
- 都道府県の労働相談窓口
- 看護協会の相談窓口
「大げさでは」と感じるかもしれません。ですが、相談は無料で、しかも記録が残ります。 後から交渉するときに効いてきます。
払って辞めるという選択
争わずに払って辞める。これも十分に合理的な判断です。
計算してみてください。
残りの返済額と、あと何年その職場に居続けるか。体調を崩して働けなくなったときの損失は、返済額よりずっと大きいことがあります。
数十万円で数年の自由が買えるなら、それは高い買い物ではないかもしれません。金額を具体的に出して比べる。それだけで、見え方が変わることがあります。
転職先が肩代わりしてくれることもあります
あまり知られていませんが、返済を支援する制度を持つ職場があります。
入職時の一時金や、返済相当額の支度金という形です。人手を確保したい職場ほど、こうした条件を用意しています。
求人票には書かれていないことが多いので、面接で聞くか、転職サイトの担当者に代わりに聞いてもらってください。
「奨学金の残債があるのですが、支援の制度はありますか」と、そのまま聞いて問題ありません。珍しい質問ではありません。
サービスごとの違いは、看護師転職サイトおすすめ比較|厳選4社の特徴と選び方にまとめています。
都道府県の修学資金の場合
こちらは制度が公開されているので、確認しやすいです。
ポイントは、免除の対象になる施設の範囲です。特定の病院に縛られるのではなく、県内の指定施設であればよい、という設計になっていることがあります。
その場合、同じ県内で転職すれば免除が続く可能性があります。 諦める前に、交付を受けた都道府県の担当窓口へ確認してください。
いちばん避けたいこと
返済のことが不安で、誰にも確認しないまま働き続けることです。
実際には、こういうことが起きています。
- 勤務年数の起算日を勘違いしていて、すでに条件を満たしていた
- 全額返済だと思っていたが、勤務した分は差し引かれる契約だった
- 分割に応じてもらえる規定があった
確認すれば分かることを、確認しないまま数年を過ごしてしまう。 これが最ももったいない形です。
まとめ
お礼奉公は、辞める自由に関わる問題です。
まず契約書を出して、金額・年数・起算日・返済条件を確認してください。「貸付」なのか、実質的に辞めさせないための仕組みなのか、という論点があることも知っておいてください。
そのうえで、無料の相談窓口を使う、払って辞める、転職先の支援制度を探す。選べる道は1つではありません。
奨学金は、あなたを一生縛るものではありません。まず、書類を開くところからです。


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