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1年目の看護師さんから、いちばん多く聞く言葉です。
「自分だけができていない気がする」
先に、ひとつだけ言わせてください。1年目でそう思わない人のほうが、少数です。
この記事は、「もう少し頑張ろう」と励ますためのものではありません。かといって「すぐ辞めていい」と背中を押すものでもありません。判断する材料を渡すための記事です。
できないのは、あなたのせいではないかもしれません
看護師の1年目は、他の職種と決定的に違う点があります。
失敗が人の命に関わる仕事を、経験のない状態で任されるという構造です。
覚えることの量、判断の重さ、時間の制約。これが同時に来ます。しかも「分からない」と言いにくい空気がある職場だと、逃げ場がありません。
だから、こう考えてみてください。
できないのが問題なのか。それとも、できるようになる仕組みがないのが問題なのか。
ここが分かれ目です。
辞める前に確かめてほしい4つのこと
1. つらさの中身は何か
「仕事がつらい」を、もう少し分解してください。
- 技術が追いつかない
- 特定の人との関係がしんどい
- 教えてくれる人がいない
- 体力的に限界
- 眠れない、食べられない
- ミスが怖くて出勤前に動悸がする
上の2つは、時間と環境で変わる可能性があります。 技術は伸びますし、人は異動します。
下の2つは、話が別です。 体が反応している状態は、根性の問題ではありません。
2. 体の状態はどうか
次のことが続いているなら、辞めるかどうかを考える前に、まず相談してください。
- 眠れない、または眠りすぎる
- 食欲がない、体重が落ちた
- 休みの日も気持ちが晴れない
- 出勤前に涙が出る、動悸がする
- 「消えてしまいたい」と思うことがある
最後の項目が当てはまるなら、今日中に誰かに話してください。 産業医、職場の相談窓口、家族、かかりつけ医。どこでも構いません。
医療者は、自分の不調をいちばん後回しにします。あなたが患者さんに同じ症状を聞いたら、受診を勧めるはずです。
3. 教育の仕組みはあるか
これは職場の側の問題です。
- プリセプターは機能しているか
- 分からないときに聞ける相手がいるか
- できていない点を、具体的に指摘してもらえるか
3番目が大事です。「そんなことも分からないの」と言われるだけでは、何も改善しません。 それは指導ではありません。
教育の仕組みがない職場で1年目を過ごすのは、単純に不利です。あなたの伸びが遅いのではなく、伸びる条件が揃っていません。
4. 部署を変えるという選択肢を試したか
ここが見落とされがちです。
辞めるか続けるかの二択で考えている方が多いのですが、そのあいだに「部署を変える」があります。
急性期の病棟が合わなくても、療養型、外来、手術室では違うかもしれません。求められる力が違うからです。
看護部長や師長に相談すれば、異動が検討されることがあります。辞めると言われるより、職場にとっても現実的な選択です。
1年で辞めるのは不利なのか
正直に書きます。
不利になる場面はあります。 「またすぐ辞めるのでは」と見られることがあるからです。
ただし、看護師は資格職で、慢性的に人手が足りていません。1年で辞めたから就職できない、ということは実際にはほとんどありません。
問題は年数ではなく、次の面接でどう説明できるかです。
「つらかったので辞めました」だと、同じことを繰り返すと思われます。「基礎を確実に身につけたいので、教育体制の整った環境を探しています」なら、伝わり方がまったく違います。
説明の作り方は看護師の面接でよく聞かれる質問と答え方で扱っています。
辞めるなら、順番があります
もし辞めると決めたなら、次の順で進めてください。
- 先に次を決める(体調が限界でなければ、こちらが安全です)
- 就業規則で退職の申し出時期を確認する
- 師長に最初に伝える(同僚より先に)
- 理由は「一身上の都合」で足ります
ただし、体が限界のときは1番目を飛ばしてください。 順番の正解より、あなたが壊れないことが優先です。
詳しい進め方は看護師の退職の切り出し方にまとめています。
奨学金の返済が気になる方は、看護師の奨学金「お礼奉公」と転職を先に読んでください。確認すれば分かることを、確認しないまま数年働き続けてしまう方がいます。
いきなり常勤に戻るのが怖いなら
辞めたあと、次の常勤を決めるのが不安なら、単発の仕事をはさむという方法があります。
健診の補助、ワクチン接種の会場、デイサービスの日勤。1日単位で働けるので、体を慣らしながら次を探せます。
詳しくは看護師の派遣・単発バイトで扱っています。
最後に
1年目に「辞めたい」と思うのは、能力の問題ではありません。負荷の量と、支える仕組みの有無の問題です。
つらさの中身を分解して、体の状態を確かめて、教育の仕組みを見て、部署を変える道を試す。それでも変わらないなら、その職場が合っていないだけです。
看護師の資格は消えません。1つの職場を辞めることは、看護師を辞めることではありません。
いま続けるかどうかより、5年後も看護師でいられるかどうかで考えてください。 そのために辞めることは、逃げではありません。
呼ぶかどうかで迷う場面については、別の記事に書きました。


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