転職して数週間。「思っていたのと違う」と感じている方へ。
中途入職でよくあるのは、次のような状態です。
- 誰も教えてくれない。聞ける空気でもない
- 物品の場所が分からず、そのたびに手が止まる
- 前の職場のやり方が通じない
- 同期がいないので、相談相手がいない
これは、あなたの能力の問題ではないことが多いです。 構造的に起きます。
なお、勤務先の体制は施設ごとに違います。実際の対応は職場の状況に合わせて判断してください。
なぜ中途は放置されるのか
新卒には研修があります。プリセプターがつき、到達目標があり、進度を見る人がいます。
中途にはそれがありません。
理由は単純で、「経験者だから分かるはず」と思われているからです。看護師としての経験があるのは事実なので、その前提自体は間違っていません。
ところが、実際に分からないのは看護の技術ではありません。
- 物品がどこにあるか
- この病院での手順の細部(同じ処置でも順番や記録の仕方が違う)
- 誰に何を聞けばいいか
- 暗黙のルール(申し送りの粒度、医師ごとの好み、記録の書き方)
どれも、経験年数では埋まらないものです。 そして、教える側は「教える必要がある」と気づいていません。自分にとって当たり前すぎて、知らない人がいると想像しにくいからです。
つらい時期がいつ終わるか
個人差が大きいので断定はできませんが、変化するのは「物の場所を覚えた頃」です。
物品の場所と、日々の流れが体に入ると、手が止まらなくなります。そうすると考える余裕ができて、看護そのものに戻れます。この段階に来ると、急に楽になったと感じる方が多いです。
逆に言えば、最初のつらさの多くは看護ではなく環境への不慣れです。ここを分けて考えられると、自分を責めずに済みます。
「看護師として力不足なのでは」と「この職場のやり方をまだ知らない」は、別の問題です。
聞き方を変えると、状況が動くことがあります
「聞きづらい」と感じている場合、聞き方に原因があることもあります。
聞きづらい聞き方
「これってどうすればいいですか」
相手は、どこから説明すべきか分かりません。忙しいときほど答えにくい質問です。
答えやすい聞き方
「この処置、前の病院ではAの順番でやっていました。こちらではどうされていますか」
自分がどこまで分かっていて、何が分からないかを先に示すと、相手は差分だけ答えられます。短時間で済むので、忙しい相手でも応じやすくなります。
もう一つ有効なのが、最初に宣言しておくことです。
「前は療養型にいたので、急性期の流れがまだ体に入っていません。しばらく質問が多くなります」
先に言っておくと、質問が「できない人」の印でなくなります。 言わないまま質問を重ねると、相手は戸惑います。
前の職場の話は、しばらく控えたほうが無難です
これは実感として書きます。
「前のところではこうしていました」は、内容が正しくても角が立ちます。 言われた側には、今のやり方を否定されたように聞こえるからです。
ただし、患者さんの安全に関わることは別です。 それは遠慮せずに言ってください。手順の好みと、危険の指摘は違います。
線引きが難しければ、「これは安全の話か、やり方の好みの話か」で分けてみてください。
放置が続くなら、それは職場の問題です
ここまでは、こちらでできる工夫の話でした。それでも動かない場合があります。
- 質問しても答えが返ってこない
- 教育担当が決まっていない
- 独り立ちの時期だけが先に決まっている
- 何かあったときだけ責められる
これは受け入れ体制の不備であって、あなたの適応力の問題ではありません。
中途採用者を戦力化できない職場は、たいてい構造的な問題を抱えています。人が辞めるから中途を採り、教える余裕がないからまた辞める、という循環です。
その循環に自分を合わせる必要はありません。
ただ、自分の職場が普通なのかどうかは、一つしか知らないと判断できません。 「どこもこんなもの」と言われると、そう思うしかなくなります。
判断材料がほしいときは、同じ地域の複数の施設に人を出している会社に聞くのが早いです。看護師の派遣を長く扱っている会社なら、どの病院が中途をどう受け入れているかを具体的に知っています。(PR)
辞めるかどうかを決める前に
短期間での再転職は、経歴に影響します。ただ、壊れてしまうよりはましです。
決める前に、次を確かめてみてください。
- つらさの中身は何か … 環境への不慣れか、人間関係か、体調か
- 相談できる相手が一人でもいるか … 師長、教育担当、以前の同僚でも
- 体に症状が出ているか … 眠れない、食べられない、動悸がする
- 入職から何か月経ったか
3番があるなら、他より優先してください。 環境への不慣れは時間が解決しますが、心身の不調はそうとは限りません。
メンタルの不調については、こちらで扱っています。
→ 看護師のメンタル不調|見逃されやすいサインと、相談していい場所
次に動くなら、確かめておくこと
もし再転職を考えるなら、同じことを繰り返さないための質問があります。
- 中途入職者への教育体制はあるか(誰が、どのくらいの期間見るのか)
- 直近1年の中途入職者は何人で、今も残っているか
- 独り立ちまでの目安はどのくらいか
- 夜勤に入るのはいつからか
2番がいちばん正直な答えを引き出します。 中途が定着していない職場は、数字を答えにくいからです。
ただ、この4つを面接で自分から聞くのは気が重いという方もいます。人材会社を間に挟むと、こちらが聞きにくいことを代わりに確認してもらえます。
もう一つ、いったん派遣で中を見るという手もあります。期間が決まっているぶん、合わなかったときに抜けやすいからです。正職員で入り直して数か月でまたつらくなるより、傷は浅く済みます。看護師の長期派遣を扱っているスーパーナースのような会社なら、教育体制や独り立ちの時期を先に確認したうえで紹介してもらえます。(PR)
転職で後悔しやすい点は、こちらでまとめています。
まとめ
- 中途が放置されるのは構造的に起きる。 新卒と違って研修の枠組みがない
- 分からないのは看護技術ではなく、物品の場所・手順の細部・暗黙のルール
- 経験年数では埋まらないものばかり。教える側も気づいていない
- 楽になるのは物の場所を覚えた頃。手が止まらなくなると考える余裕が戻る
- 「力不足」と「この職場をまだ知らない」は別の問題
- 聞くときは、自分がどこまで分かっているかを先に示す
- 最初に「質問が多くなります」と宣言しておくと、質問が印にならない
- 前の職場の話は控える。ただし安全に関わることは別
- 教育担当が決まっていないなら、それは職場の受け入れ体制の問題
- 辞める前に、つらさの中身を分ける。体に症状が出ているなら最優先
最初の数か月がつらいことと、その職場が合わないことは、同じではありません。 ただし、確かめる方法はあります。
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ご注意
この記事は一般的な情報提供であり、個別の職場環境や雇用について判断するものではありません。教育体制・独り立ちまでの期間・夜勤開始の時期は医療機関ごとに定められています。労働条件に関する疑問がある場合は、勤務先の担当部署または所轄の労働基準監督署にご確認ください。心身の不調が続く場合は、早めに医療機関を受診してください。


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