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1年目でいちばんつらいのは、技術ができないことではありません。
何ができていないのかを、自分で説明できないことです。
「全部できない気がする」という状態では、教えてもらうこともできません。先輩も、どこから教えればいいのか分かりません。
このリストは、できるようになるべき項目を並べたものではありません。「ここが分かりません」と言葉にするための道具です。
先にお伝えします。1年目の途中で、全部に丸が付く人はいません。 空欄があるのが普通の状態です。
使い方
各項目を、次の3つで分けてください。
- 1人でできる
- 見てもらえればできる
- まだ自信がない
大事なのは3番目です。3番目に印を付けた項目を、そのまま先輩に見せてください。
「これとこれが不安なので、次に機会があるとき見ていただけますか」
この一言が言えるだけで、1年目の景色が変わります。漠然と「できません」と言うより、はるかに教えてもらいやすくなります。
1. 観察とアセスメント
- 血圧を、自動測定に頼らず用手で測れる
- 脈を触れて、リズムの乱れに気づける
- 呼吸数を正確に数えている(推測で書いていない)
- SpO2の値が低いとき、まず何を確認するか言える
- 意識レベルを、決められた指標で表現できる
- 瞳孔を観察して、記録できる
- 呼吸音を聴いて、左右差に気づける
- 腹部の状態を観察して、記録できる
- 浮腫の有無と程度を判断できる
- 「いつもと違う」と感じたときに、誰に何と伝えるか決まっている
最後の項目が、この章でいちばん大事です。 異常に気づく力より、気づいたあとに動ける準備のほうが、1年目には効きます。
2. 与薬
- 与薬の確認手順を、自分の言葉で説明できる
- 指示簿を読んで、不明点を特定できる
- 疑問に思ったとき、実施前に確認している
- 薬の作用と主な副作用を、実施前に調べている
- 内服の介助で、確実に飲めたことを確認している
- 持参薬の扱いのルールを知っている
- インスリンの単位を、指差しと声出しで確認している
- 麻薬の取り扱いと記録の手順を知っている
3番目に印が付くなら、それは技術の問題ではありません。 「実施前に聞ける空気があるか」という、職場の側の問題です。
3. 注射・採血・ルート
- 採血の手順を、準備から片づけまで通してできる
- 駆血帯を巻く位置と時間を守れている
- スピッツの順番と転倒混和を理解している
- 皮下注射と筋肉内注射の部位を正しく選べる
- 静脈内注射の手順と、注意すべき薬剤を知っている
- 末梢ルートの確保ができる
- ルートの刺入部を観察して、異常に気づける
- 輸液ポンプ、シリンジポンプを操作できる
- 点滴の滴下数を計算できる
- 針刺し事故が起きたときの手順を知っている
最後の項目を確認してください。 起きてから調べるのでは遅く、対応は時間で効果が変わります。
詳しくは針刺し事故が起きたら|最初の30分にすべきことにまとめています。夜間と休日の連絡先も、先に確認しておいてください。
4. 呼吸・循環の管理
- 酸素流量計を扱える
- 投与器具ごとの特徴を説明できる
- 吸引の手順と、注意点を守れる
- 吸引の時間と圧の目安を知っている
- 心電図モニターを装着できる
- モニターのアラームが鳴ったとき、何から確認するか言える
- 急変時に、応援を呼ぶ手順を知っている
最後の項目は、技術より先に確認してください。 どのボタンを押すのか、誰を呼ぶのか、何を持ってくるのか。1年目に求められるのは、対応そのものより、正しく人を呼ぶことです。
5. 日常生活の援助
- 体位変換を、自分の腰を守る姿勢でできる
- 移乗の介助を、2人で安全に行える
- 清拭、洗髪、陰部洗浄ができる
- おむつ交換で、皮膚の状態を観察している
- 食事の介助で、誤嚥の兆候に気づける
- 口腔ケアができる
- 褥瘡のリスクを評価できる
1番目は、いまのうちに正しい形を身につけてください。 腰は、痛めてからでは戻りにくい部分です。
負担のかかり方は看護師の腰痛で仕組みから説明しています。ベッドの高さを毎回上げるだけで、腰にかかる力が変わります。
6. 感染対策
- 手指衛生のタイミングを、5つ言える
- 個人防護具の着脱を、正しい順序でできる
- 感染経路別の対策を区別できる
- 使用済み器材の取り扱いを知っている
7. 記録と報告
- 電子カルテに、必要な項目を記録できる
- 主観と客観を分けて書けている
- 報告を、結論から先に伝えられる
- インシデントレポートの書き方を知っている
- 報告すべきかどうか迷ったとき、報告する側を選べている
最後の項目が、1年目にとって最も重要かもしれません。
迷ったら報告する。それで怒られる職場なら、報告しなかったときのほうが、はるかに大きな問題になります。
印が多くても、落ち込まないでください
ここまで51項目を挙げました。1年目の半ばで、3番目の印が10個以上あっても普通です。
むしろ、全部に丸が付くと思っている人のほうが心配です。 分かっていないことに気づけていない状態だからです。
不安を数えられるのは、見えているということです。それは伸びる条件が揃っている状態です。
ただし、これは別の問題です
リストを見せても教えてもらえない。「そんなことも分からないの」で終わる。それは、あなたの側の問題ではありません。
教育の仕組みがない職場で1年目を過ごすのは、単純に不利です。あなたの伸びが遅いのではなく、伸びる条件が揃っていません。
そして、次のような状態が続いているなら、技術の話より先に確認することがあります。
- 眠れない、食べられない
- 出勤前に動悸がする、涙が出る
- 休みの日も気持ちが晴れない
これは根性の問題ではありません。 看護師のメンタル不調|見逃されやすいサインを読んでください。
職場を変えることも含めた考え方は新人看護師が「辞めたい」と思ったときにまとめています。
呼ぶかどうかで迷う場面については、別の記事に書きました。
まとめ
このリストは、点数を付けるためのものではありません。「ここが分かりません」と言葉にするための道具です。
1人でできる、見てもらえればできる、まだ自信がない。3番目に印を付けて、そのまま先輩に見せてください。
漠然と「できません」と言うより、はるかに教えてもらいやすくなります。
そして、空欄があるのは普通です。できないことを数えられる人は、伸びます。


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