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看護研究が好きだという人に、ほとんど会ったことがありません。
通常業務のうえに乗ってきて、やり方も教わっておらず、締め切りだけがある。嫌われるのは当然です。
この記事では、どこで詰まるのかを先に潰す形で進め方を書きます。手順を知っているだけで、かかる時間はかなり減ります。
先にお伝えします。これは一般的な進め方です。 実際の様式や審査の要件は施設ごとに違うので、必ず自施設の規定を確認してください。
いちばん詰まるのは、テーマです
ここで数か月を失う人が多いので、最初に書きます。
失敗するテーマには、共通点があります。
- 大きすぎる(「終末期看護における家族支援のあり方」)
- 答えが決まっている(調べる前から結論が見えている)
- データが取れない(過去の記録に残っていない項目)
- 自分が興味を持てない
1番目が最も多い失敗です。 大きなテーマは、どこから手をつければいいか分からなくなります。
良いテーマの見つけ方
難しく考える必要はありません。日々の「これ、どうなんだろう」から始めてください。
- この手順、本当に必要なのか
- この説明の仕方で、患者さんは理解できているのか
- この記録、誰が読んでいるのか
- なぜこの時間帯に転倒が多いのか
そのうえで、1文に収まるまで絞ってください。
「終末期看護における家族支援」ではなく、「当病棟で、家族へのデスカンファレンスの実施前後で、看護師の困難感がどう変わるか」のように、対象と時期と測るものをはっきりさせます。
絞れば絞るほど、進みます。
文献を先に読む理由
テーマが決まったら、データを取る前に文献を読んでください。
理由は2つです。
- すでに答えが出ていることに、時間を使わずに済む
- 測り方の参考になる(既存の尺度が使えることがあります)
2番目が大きいです。自分で質問項目を作るより、既に検証された尺度を使うほうが、結果の信頼性が上がります。
どこで探すか
- 医中誌Web(日本語の医学・看護文献。施設が契約していることが多いです)
- CiNii Research
- J-STAGE
- PubMed(英語)
施設の図書室に司書がいるなら、必ず相談してください。 検索の仕方を教えてもらえます。1人で探すより、はるかに早いです。
倫理審査は、早く出してください
ここが、スケジュールを壊す最大の要因です。
審査には時間がかかります。 委員会が月に1回しか開かれない施設も多く、修正を求められれば翌月に回ります。
つまり、提出が1回遅れると1か月遅れます。
審査で問われること
- 研究の目的と方法が、はっきり書かれているか
- 対象者にどう説明し、どう同意を得るか
- 断っても不利益がないことを、どう保証するか
- 個人が特定されないよう、どう処理するか
- データをどこに保管し、いつ廃棄するか
- 研究による負担やリスクはあるか
3番目が、看護研究では特に重要です。
患者さんは断りにくい立場にあります。スタッフを対象にする場合も、上司が研究者だと断りにくくなります。「断っても何も起きない」ことを、どう担保するかを書いてください。
通しやすくするコツ
- 過去に通った申請書を見せてもらう(これがいちばん早いです)
- 委員会の事務局に、提出前に相談する
- 説明文書は、専門用語を減らして書く
1番目を必ずやってください。 施設ごとに書き方の型があります。ゼロから書くのは時間の無駄です。
データの取り方で、後悔しないために
取り始めてから「これも聞いておけばよかった」となるのが、いちばん痛いです。
先に決めておいてください。
- 何を、何人から、いつまでに取るか
- どう集計するか(取る前に、集計の形を決める)
- 誰が入力するか
2番目が抜けがちです。 自由記述をたくさん集めても、まとめ方を決めていないと手が止まります。
そして、数は少なくて構いません。 院内の発表であれば、1つの病棟の数十人分でも十分に成り立ちます。
まとめ方の型
論文の構成は決まっています。型があるので、埋めていく作業だと考えてください。
- はじめに(なぜこの研究をするのか。文献を引いて、まだ分かっていないことを示す)
- 目的(1文で書く)
- 方法(対象、期間、測るもの、分析の方法、倫理的配慮)
- 結果(事実だけを書く。解釈は入れない)
- 考察(結果が何を意味するか。文献と比べる。限界も書く)
- 結論(1〜2文)
4番目と5番目を混ぜないでください。 ここが崩れると、読みにくい論文になります。
そして、限界を正直に書いてください。 「1施設のみの結果であり、一般化には限界がある」と書くことで、かえって信頼されます。
院内発表の準備
発表そのものは、思っているほど大変ではありません。
- スライドは、1枚に1つのことだけ
- 結果は図か表で見せる(読み上げない)
- 時間を計って練習する(超過が最も印象を悪くします)
- 質問は3つ、想定しておく
よく来る質問は決まっています。「なぜこの方法にしたのか」「対象者が少ないのでは」「明日から何が変わるのか」。 答えを用意しておいてください。
いちばん大事なこと
最後に、これを書いておきます。
看護研究は、通常業務の時間内でやるべきものです。
持ち帰り、休日の作業、無給の残業。これが当たり前になっている職場は、労務管理の問題を抱えています。
研究の時間をどう確保するかは、本来は師長と相談すべきことです。「みんなそうしているから」で自分を消耗させないでください。
そして、それを言い出せない空気があるなら、それ自体が職場の問題です。看護師が受けるハラスメントで、記録の取り方と相談先を扱っています。
まとめ
看護研究でいちばん詰まるのは、テーマです。大きすぎるテーマが、最も多い失敗です。1文に収まるまで絞ってください。
データを取る前に文献を読んでください。既に検証された尺度が使えることがあります。
倫理審査は早く出してください。1回遅れると1か月遅れます。 そして、過去に通った申請書を見せてもらうのが最短です。
論文には型があります。結果と考察を混ぜないこと、限界を正直に書くこと。 この2つで、読める論文になります。


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